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小泉進次郎の育児休暇から5年、日本の男性育休はどう変わったか

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この記事では、小泉進次郎氏の育休取得から5年が経過した今、日本社会における男性育休の「制度」「取得率」「職場の空気」などがどう変わったのかを具体的に解説します。

筆者自身も、制度改正後に育休を取得し「手取り100%の給付で安心して子育てに集中できた」という経験があります。また、職場でも「育休を取るのが当たり前」という空気が少しずつ広がっていることを実感しています。

この記事でわかること
  • 2020年から2025年にかけての男性育休取得率の変化
  • 新制度「出生後休業支援給付金」の内容とメリット
  • 企業の成功事例と育休推進の工夫
  • 今後の課題と育児のジェンダー平等への展望
目次

小泉進次郎氏の育休取得が与えた社会的インパクト

2020年1月、当時38歳だった小泉進次郎環境相が育児休暇の取得を発表したときのことを覚えていますか? 日本の現職閣僚として初めての育休取得表明に、メディアは大きく反応しました。「公務最優先、危機管理万全」という条件付きながらも、出産から3カ月の間で通算2週間の育休を取得するという宣言は、当時の日本社会に大きな波紋を広げたのです。

「育休を検討していますと、そう言っただけで、こんなに世のなか色んな賛否両論含めて騒ぎになるということが日本て堅いね、古いね」と小泉氏は語りました。この発言は、当時の日本社会における男性育休に対する認識をよく表していたと思います。

小泉進次郎氏が育児休暇取得を発表した際の記者会見の様子を描いた手書き風イラストあれから5年。2025年の今、男性の育児休業を取り巻く環境はどう変わったのでしょうか? 制度の変化や取得率の推移、そして残された課題について見ていきましょう。

データで見る男性育休取得率の変化

小泉氏の育休取得表明当時、日本の男性育休取得率はわずか8%程度でした。女性の取得率が80%以上だったことを考えると、その差は歴然としていました。

しかし、その後の5年間で状況は大きく変わりました。厚生労働省の調査によると、2022年度の男性の育休取得率は17.1%まで上昇。女性は80.2%と横ばいである一方、男性は着実に増加を続けています。

2020年から2025年までの男性育休取得率の推移を示す手書き風グラフイラストこの増加の背景には、育児・介護休業法の改正や企業の取り組み強化があります。特に2022年10月からスタートした「産後パパ育休」(出生時育児休業)制度は、子どもの出生後8週間以内に4週間までの休業を、2回に分割して取得できるようになりました。

さらに、企業にも変化が見られます。マイナビ転職の「育児離職と育休の男女差実態調査(2025)」によると、子育て中の正社員のうち、育児の影響により退職または退職を検討した人は35.0%にのぼります。企業側もこうした人材流出を防ぐため、育休取得しやすい環境づくりに注力するようになってきたのです。

2025年4月からの制度変更で男性育休はどう変わった?

2025年4月から、男性の育休取得を後押しする新たな制度がスタートしました。「出生後休業支援給付金」です。

これまでの育児休業給付金は、休業前の賃金の67%(手取りで8割相当)が支給されていましたが、新制度では育児休業給付金と出生後休業支援給付金を合わせて受給することで、最大28日間は賃金額面の80%(手取りで10割相当)の給付金を受け取れるようになりました。

新旧育休給付金制度の比較を示す手書き風イラストつまり、これまで「収入が減る」ことを理由に育休取得を躊躇していた男性社員も、最初の28日間については実質的に収入の減少なく育児に専念できるようになったのです。これは男性の育休取得を促進する大きな一歩と言えるでしょう。

また、2025年4月からは、従業員300人超の企業に「男性の育休取得率等の公表」が義務化されました。企業は自社の男性育休取得状況を公開することで、求職者からの評価にも影響するため、より積極的に男性の育休取得を推進する動きが加速しています。

企業の取り組み事例から見る成功のポイント

男性育休の取得率向上に成功している企業には、どのような特徴があるのでしょうか?

例えば石井食品では、長期休業を全社に導入し、柔軟な働き方を提供しています。ヤマト運輸のような労働集約型産業でも、短期・長期両面からの組織風土改革に取り組んでいます。三井住友海上火災保険では、同僚を対象とした祝い金制度を設けることで、育休取得を応援する企業風土づくりに成功しています。

男性社員が育児に参加している様子を描いた手書き風イラスト山梨県庁では、トップによる強い推進と、モデルプラン提示による複合的サポートを実施。公的機関としての取り組みも進んでいます。

これらの成功事例に共通するのは、単に制度を整えるだけでなく、「育休を取ることが当たり前」という組織風土の醸成に力を入れている点です。上司や同僚の理解と協力があってこそ、男性社員も安心して育休を取得できるのです。

あなたの職場ではどうですか? 男性の育休取得に対する雰囲気は変わってきていますか?

残された課題と今後の展望

男性育休の取得率は確実に上昇していますが、まだまだ課題も残されています。

一つは「育休の質」の問題です。取得日数が短い、取得しても実質的に仕事をしているなど、形だけの育休になっているケースも少なくありません。また、育休から復帰後も続く育児のジェンダー平等を目指した支援体制の設計も必要です。

経済同友会の「イノベーション創出へのDEI経営」報告書では、男性単独での育休取得にインセンティブを付与するなど、育児のジェンダー平等を目指した育休制度の検討が提言されています。現状では男女同時の育休取得が前提であり、男性はあくまで「女性主体の育児のサポート役」が期待されるにとどまっているからです。

男性主体の育児を前提とした社会インフラ(公共施設等のハード、男性の産後うつ対策等のソフトの両面)の整備も課題として挙げられています。

未来の育児シェアを象徴する手書き風イラスト小泉進次郎氏の育休取得表明から5年。日本社会における男性育休への認識は確実に変わりつつあります。制度面での充実も進み、取得率も上昇傾向にあります。

しかし、真の意味での「育児のジェンダー平等」を実現するためには、まだまだ乗り越えるべき壁があります。育休取得率の向上だけでなく、育児そのものに対する社会全体の意識改革が求められているのです。

まとめ:男性育休の未来に向けて

小泉進次郎氏の育休取得表明から5年が経過し、日本の男性育休を取り巻く環境は大きく変化しました。取得率は8%から17%以上へと倍増し、2025年4月からは手取り実質100%となる新制度もスタート。企業の取り組みも進化しています。

しかし、単なる「取得率」の向上だけでなく、育児における真のジェンダー平等を実現するためには、男性が主体的に育児に関わる社会的土壌の醸成が必要です。

育休制度の充実と並行して、育児に対する社会全体の意識改革を進めていくことが、これからの5年間の大きな課題となるでしょう。あなたも、職場や家庭で、育児のあり方について考えてみませんか?

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